20年前のインフラから20年後のインフラへ インフラエンジニアの今後とは?

リクルートさん主催の「20年前のインフラから20年後のインフラへ インフラエンジニアの今後とは?」という勉強会の参加レポートです。

基調講演

日本は60年代ハードウェア領域は強くなり、物理層やアプリケーション層も強みを持っている。
一方で、システムソフトウェア層のみだけ取り残されている。(アメリカは全ての層が強い)
社内での自由な試行錯誤さえ認められれば、日本は他国と戦えると考えている。
(お堅い)IPAやNTT東でも実行できているので、他の組織でもできるはず。
アメリカはシリコンバレーが投資しているが、日本は大企業個社ごとが投資家となれるはず。
日本人は真面目なので試行錯誤の雰囲気はトップダウンで伝えていかないといけない。
GAFAはモダンなシステムしか作ってないが、日本はレガシー→モダンなシステムを抱えている対応範囲の広さにも強みがある。
多くの工業分野で世界トップになったことがある日本ならICTの世界でもトップになれるはずという強いメッセージでした。

リクルートの取り組み紹介

社内プライベートクラウドでは膨大な機器を抱えており、EOSL対応が課題となっている。
独自のベンチマークツールを用いて、サービス影響を可視化した。
結果として2021年度インフラ稼働率100%、計画メンテも含めた停止時間はわずか6秒で抑えた!!
→他国では停止時間はある程度諦める事が多いが、そこにこだわってわずか6秒に抑えられたことに価値がある。

Recruit社内では複数事業を抱えており、各事業で利用する基盤に従来はマルチテナント方式を取っていた。
しかし、他事業のリソース利用がバーストした場合は他事業にも影響を及ぼしてしまったり、メンテナンスの調整が難しい等の問題があった。
そこで本番導入フェーズにセルフホスティング方式を新たに採用した。(プレリリース時はマルチテナント方式)
これは各事業領域ごとに基盤・運用を個別にするというもの。
構築・運用用の汎用手順を用意することに加え、あらかじめマルチテナントの運用を兼務することでノウハウを学んだ各事業の担当者が基盤の運用も行う。
これによって、上述の問題を解消する上に社内全体の技術力が否が応でも向上していくという利点がある。

QAセッション

けしからん大企業において、自由な開発環境を用意するように経営層を説得する方法は?
→経営者と同じ勉学を身につけることで、経営者が検討するメリットやリスクを説明できるようになること。

無停止EOSL対応を推進する際、特に重きを置いた点は?
→無停止であることを最重要視した。

独自システム開発の選択基準は?
→ユーザにとって便利であること

ICT人材教育のために子どもたちに向けて広く仕掛けていきたいことは?
→以下2点
 ①内部の仕組みに興味を持つ子供は一定数いるはずなので彼らに対して経験を提供してあげること
 ②他のシステムが倒れても自分の担当システムは倒れない様に頭で考えて工夫する能力。

証券システム系の会社とリクルートの文化の違いは?
→同じ規模のプロジェクトを実施するとしても、証券システム系会社では四年かかったがリクルートでは一年程度で実行できると考えている。

メーカーのサポートもないのに、無停止移行できると思った直感・判断の根拠は?
→最も高負荷な環境で無停止移行が移行ができたとき確信できた

登さんのような発想力を得るために必要な勉強は?
→人文系の読書と、役所/大企業のアーキテクチャーを全て把握できる人材になる取り組み
→優秀なエンジニアは国語力が優れている。
→他分野と違ってIT業界はノウハウをドキュメントとして次世代への引き継ぎが行えていない。社内外といった線引きをせずにノウハウを私物化せずに引き継いでいくべき。

クロージング

RECRUIT 九段坂オフィスについて紹介いただいた。
・マット下へ直接敷ける特注のフラットケーブルを用いることで、上げ床や電源タップが不要なバリアフリーなオフィスとなっている。
・持ち運び可能なモバイルバッテリーを何台も貸し出しているため色々な場所で働ける。