2022年度ストレージトレンドセミナー(第二回)参加レポート

はじめに

ストレージおよび情報管理関連に関する技術の標準化と教育プログラムを推進しているSNIA日本支部さんが主催している2022年度ストレージトレンドセミナー(第二回)へ参加してきました。
開催概要は以下リンクから参照ください。
https://www.snia-j.org/news/information/6400/

挨拶

SNIAはSANの隆盛をきっかけに発足し、今年で25周年(日本支部は2001年から)。
直近ではDNAストレージの団体を発足している。

ストレージ市場の最新展望:変動期における投資の変化

世界IT支出は、2020年こそCOVID-19の影響で成長率が低下したものの、2021年から回復基調。2021~2026年は6.5%(GDP成長率の約3倍)。

国内IT支出成長率は4.4%。2009年の金融危機時は効率化、COVIT-19の場合ではデジタルレジリエンシー(変化への対応のみに留まらず、新たな成長の糧とする力)が目的へと変わってきている。また、2009年時はGDPが5%程度減にたいしてIT支出は12.9%も減っており、IT支出の削減量も減っている。

ストレージのインストールベース容量予測(Storage Sphere Forecast)では、7年で約4倍に増加する見込み(2019年5.8ZB→2026年20.7ZB)。エンドポイントでのデータ利用は相変わらず増加するが、保存先が変化していきEnterprise/Cloud/Core Datacenterで管理される割合が増加する予測。

世界インフラの配備モデル別支出額はパブリッククラウドが50%/プライベートクラウド17%/トラディショナル33%となる見込み。

アクセス頻度の低いコールドデータが4割以上もあるため、今後の保管のあり方が問われる。9割以上の企業がデータの保管先をエッジからコアへ移行しており、データ分析やIoTプロジェクトの利用などの理由が増えてきている。

ワークロードの最適な配置場所を模索するため、パブリックからプライベートクラウドへの移行も一定数でてきている。二酸化炭素排出量(電力消費量)を勘案して、DCへ移行するというケースもあると考えている。

オンプレミスでもas-a-Serviceモデルの提供が拡大している。必要に応じて、個社別のセキュリティ対策と柔軟な利用量の変更を兼ねそら得られる点がポイント。人材不足により、管理をベンダーに依頼できるところも高評価。

フラッシュドライブの需要は右肩上がりで増加している。一方で低コスト/大容量のHDD・テープもバック用途で根強く需要は続く見込み。

総括するとポイントは以下3点

①デジタルレジリエンシーの獲得を支援できるソリューションを提供する。

②デジタルレジリエンシーの実践

③? (聞き逃したので分かり次第修正します。)

 

クラウドストレージの動向 ~大学・研究機関における利用を中心に

今回はエンタープライズ向けIaaSを中心に言及。
ブロックストレージ:HDD/SSD。ブロック単位でI/O。ブートディスクやデータディスクとしてVM/Instanceに接続
ファイルストレージ:NFSによって複数サーバ間で共有。
オブジェクトストレージ:Rest APIで接続するので、クラウド内/外からアクセス可能。コールドストレージサービスとして提供されることが多い。 ★今日はオブジェクトストレージに言及

コールドストレージは安い代わりに制約が色々つく。
制約としては復元するまでに長時間を要する/ 取り出し回数に対して課金が発生/ 最低保持期間を要求される/冗長性が比較的低い/最低オブジェクト長等がある。
メガクラウドの商品体系はほぼ同じになってきている。
一部wasabiなどの価格破壊するベンダーが出てきている。
クラウド価格は右肩下がりという声もあるが、ストレージに関しては2018年以降ほぼ一定。

学術機関において、管理運営基盤(メール等のインフラおよび事務系システム )ではクラウドの利用がかなり進んでいるが、研究用途(データ保管や計算)では進んでいない。理由はやはりセキュリティや信頼性に対する不安が一番の理由。これはクラウドに対する知見・知識の不足が原因であるため、学認クラウド導入支援サービスでプロバイダーと学術機関を結んでいる。チェックリストベースで各クラウドプロバイダが回答した情報を提供している。

ホット/コールドストレージをハイブリッドで利用することで、データ利用量が線形で増えても料金を抑えることは可能なので性能を見ながら検討する必要がある。

Storage Developer Conference 2022概要

3年ぶりのオフライン開催。参加費は$1,000程度。
全99セッションが開催された。CXL(※1) / Data Processing Units / Emerging Technologiesという分類が新設された。

保存データ量は毎年約40%で増加し続けるのに対して、既存のデバイス容量成長率は20%程度であるため大幅なパラダイムシフトが必要とされている。分子ストレージ、DNAストレージが鍵とされるが巨額の研究投資が必要と見込まれている。

※1:VIAVI. "Compute Express Link(CXL)". https://www.viavisolutions.com/ja-jp/products/compute-express-link-cxl, (参照2023-02-18)

SSD Form Factorの最新動向

SSDとは・・・半導体で構成されるドライブ、不揮発ストレージ、高性能、高価格。
Form Factorとは・・・形状やサイズなどの技術仕様

利用するデータ量が増加していくのに伴って、I/O性能の向上(Form Factorの向上)も求められていく。
2.5-inch(U.2)というForm Factorが現在は主流。
EDSFFとは・・・ Enterprise and Data Center Standard Form Factor。今後E3.S/ E3.Lが普及していく。2.5-inch(U.2)では信号品質と最大消費電力の制限という2点が課題であり、PCIe 6.0からはEDSFFが必要になる。

感想

最近業務が変わりストレージの分野はまだ勉強しはじめたばかりなので、単語レベルで初めて聞くようなものばかりで勉強になりました。
特に各々のチャプターで登場したDNAストレージというのが、遺伝子コードを使うことで超長期間大容量データを保管できる発明というのがとても興味深かったです。まだまだ止まることなく成長を続けていてすごいですね。